コロナウィルス対策! 傷寒論 漢方薬と鍼灸、ツボ押しで乗り越えよう!②麻黄湯証
前回↓
漢方と鍼灸でウイルス対策!
漢方で風邪と言えば、まず太陽病
太陽病ってなんですか?
太陽病は、気(エネルギー)の通り道である経絡の一つ「太陽経」に、風の邪などの外邪(がいじゃ)が入ることで起こる病気です。
それが「風邪」のことなんですね?
厳密には、風の邪だけでなく、寒邪、湿邪、燥邪、熱邪などの種類があります。
漢方学では、「脈浮」「頭項強痛」「悪寒」の三つがそろうと「風邪をひいた」と考えます。
詳しくは前回のものを見てください。
ahsakasa.hatenablog.com
きつい風邪のひきはじめは「麻黄湯証」
太陽病の「脈浮」「頭項強痛」「悪寒」のほかに、「無汗」「発熱」「骨節疼痛」「喘」「嘔逆」「強い悪寒」「脈緊」を伴えば「麻黄湯証」あるいは「傷寒証」「表寒実証」などと言われます。
無汗(むかん)は、汗をかいておらず、首や背中周りが乾燥していること。
発熱は、強めの発熱。
骨節疼痛(こっせつとうつう)とは、関節痛のことで、「ふしぶしが痛い!」となるものです。
喘(ぜん)とは、咳が頻繁に出ることや喘息発作のように呼吸困難になることです。
嘔逆(おうぎゃく)とは、えずくこと。
悪寒(おかん)は、この場合、強い寒気のことを指します。
脈緊(みゃくきん)とは、手首の脈が緊張して硬いことです。
これらの症状があれば、「麻黄湯」という漢方薬の適応症となります。
コロナウィルスやインフルエンザにも有効
コロナウイルスにも効くんですか?
漢方学ですので、ウイルスの種類は問いません。
漢方は、ウイルスの種類は問わないので、症状が当てはまればすぐに予防できます。
症状が当てはまることが重要です。
コロナウィルスの症状は、「発熱」「空咳」「倦怠感」が主な症状となりますので、麻黄湯がぴったりというわけではありません。
「汗をかいていない」「発熱」「関節痛」「咳」「吐き気」「強い寒気」の症状と一致することを確認して使用することが重要です。
症状が一致したらすぐに対策を!
脈はどうやって診るんですか?
今回も、脈を診るのは、普通の人は難しいと思います。一番大事なのは症状の一致です。
ようするに、頭痛、強い寒気、きつい発熱、関節痛、咳、えずきなどの症状に加え、体が汗をかいておらず乾燥しているときはすぐに麻黄湯です。
きつく発熱するのにどうして汗をかかないんですか?
汗をかかない理由は、寒邪(かんじゃ)という冷えの邪が、体表に取り付こうとしていることを意味します。寒邪の寒さのため、体がぎゅっと縮こまって汗腺がふさがり、汗が出てこないのです。
これが「強い寒気」と「汗をかかない」理由です。
そこで、この風寒の邪が体内に入らないよう、発汗して追い出す必要があるのです。
風寒の邪を追い出すのが麻黄湯なんですね?
頭痛、強い寒気、きつい発熱、関節痛、咳、えずきなどの症状に加え、体が汗をかいておらず乾燥しているときの風寒の邪を追い出すのが麻黄湯です。
「麻黄湯」には、麻黄、桂枝、甘草、杏仁が含まれていて、発汗を促して風寒の邪を追い出す働きがあります。
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上級パート 症状の理由
脈浮とは、体表にやって来た風邪を追い払おうと、体内のエネルギーである営気が、体表に上がってくるために脈が押し上げられることです。
頭項強痛とは、風邪が入ってくるポイントとなる首元に、防衛のために気が集まり、停滞することや、風邪が一緒に連れてくる寒邪によって凝滞する(ぎゅと縮こまる)ことによっておこる頭痛やこりのことです。
悪寒とは、首元に風邪や、風邪が一緒に連れてくる寒邪が当たって寒気がすることです。この場合、寒邪のせいで強い寒気を感じます。
無汗とは、寒邪が体表に迫り、寒邪凝滞(寒くて体が縮こまる)で腠理(汗の出るところ)がふさがるため汗が出ないことです。
発熱は、風寒の邪と防衛の気がぶつかって戦うことで起こる熱で、この場合、十分な衛気(えき)という防衛の気が風寒邪とぶつかるため、きつい発熱が起こります。
骨節疼痛とは、寒邪による寒さのために体がぎゅっと縮こまり、体をめぐる気が停滞してしまうことで起こる痛みです。
漢方学では、「気、通ぜざれば即ち痛む」といい、気が通らないとことが痛みの原因となります。
喘とは、体表に寒邪が停滞することで、皮毛(体表)をコントロールしている「肺の臓」に影響し、下に降りるべき気が、上に上がってくることで起こります。
嘔逆とは、同じように「胃の腑」に影響して胃の気が上がってくることで起こります。
麻黄湯ってどんな薬? 対応するツボは?
麻黄湯は、発汗を促して風寒の邪を追い出す薬です。
麻黄は、発汗して風寒の邪を追い出し、肺の臓を正常に機能させて咳を軽くさせる働きがあります。
対応するツボは、合谷です。
桂枝は、体中を温めて軽く発汗させる働きがあります。
対応するツボには、後谿-申脈、百会などがあります。
甘草は、 お腹の働きをよくして気を作り出します。
肺を潤して咳を止める働きもあります。
対応するツボは足三里です。
杏仁には、肺の臓の働きをよくして咳を止める効能があります。
対応するツボは、列缺です。
お家でできる対策
お家でできることはありますか?
基本的には前回と同じです。ゾクッとしたら首回りを温めること。
手首の甲側から、腕の外側も冷えてますから、そこもしっかりと温めること。
さらに暖かいものを摂取して、暖かい格好をしてしっかりと汗をかくまで温まり、ぐっすり眠ること。
汗をかいたらその都度着替えて、汗がひいたときに冷えないようにしてください。
ポイントは、最初に寒気を感じたときに、すぐに対策をとることです!!
ツボは、指で押せばいいんですか?
ツボは、百会、合谷以外は強くは押さえず、ツボの周辺を蒸しタオルで温めるなど、温めるのがいいでしょう。
次回は小青竜湯証。下痢を伴ったり、鼻水、おしっこが出にくいなどの風邪です。