コロナウィルス対策! 傷寒論 漢方薬と鍼灸、ツボ押しで乗り越えよう!③小青竜湯
前回↓
漢方と鍼灸でコロナウイルス対策!
コロナウィルスなんて怖くない?!
漢方や鍼灸でコロナウィルスを防げるんですか?
そもそも漢方学の発想には「ウイルス」というもの自体がありません。
じゃあ、コロナウイルスは防げないんですか?
そうではなくて、コロナウイルスであろうとなかろうと、症状が一致することが大事ですね。
まず、漢方学では「脈浮」「頭項強痛」「悪寒」の三つがそろうと「風邪をひいた」と考えます。
詳しくは①を見てください。
ahsakasa.hatenablog.com
さらさら鼻水、くしゃみ、鼻づまり、薄い痰などの風邪には「小青竜湯証」
それから、太陽病の「脈浮」「頭項強痛」「悪寒」のほかに、「無汗」「発熱」「骨節疼痛」「喘」「嘔逆」「強い悪寒」「脈緊」を伴えば「麻黄湯証」あるいは「傷寒証」「表寒実証」などと言われました。
こちらも詳しくは②を見てくださいね。ahsakasa.hatenablog.com
でも、普通、風邪ひくと、鼻水とか、くしゃみとか出ますよね?
そういう場合、桂枝湯なんですか? 麻黄湯なんですか?
はい。そういう場合、今回ご紹介する小青竜湯となります。
小青竜湯は、本来、咳嗽(せき)、希薄な痰(黄色くない)、喘鳴(ぜいぜいという呼吸)、全身の浮腫み、重怠さ、下痢、小便不利(おしっこがでにくい)などの症状に使う漢方です。
先に挙げた麻黄湯の症状以外に、こうした症状があれば小青竜湯を使います。
ただ、鼻水やくしゃみにも効果があり、現代では風邪だけではなく、アレルギー性鼻炎や花粉症にも使われることがあります。
アレルギー性鼻炎や花粉症にも有効?
花粉症にも効くんですか?
漢方学ですので、西洋医学の診断ではなく、あくまでも症状が一致することを大切にします。
そのため、小青竜湯は、「咳嗽(せき)」「希薄な痰」「喘鳴(ぜいぜいという呼吸)」「全身の浮腫み」「重怠さ」「下痢」「小便不利(おしっこがでにくい)」「鼻水」「鼻づまり」などに使われます。
ただし、これはお医者さんにしっかりと診てもらって服薬することが大事です。
症状が当てはまれば、風邪でも、コロナでも、アレルギーでも、花粉症でも構わないわけです。
コロナウィルスの症状は、「空咳」で痰はなく、鼻水や鼻づまりもほとんど見られないとのことですので、小青竜湯がぴったりというわけではありません。
「咳嗽(せき)」「希薄な痰」「喘鳴(ぜいぜいという呼吸)」「全身の浮腫み」「重怠さ」「下痢」「小便不利(おしっこがでにくい)」「鼻水」「鼻づまり」の症状と一致することを確認して使用することが重要です。
どのタイミングで対処すればいいの?!
いつも思いますけど、どのタイミングで対処したらいいですか?
もっとも重要なのは、「寒気」を感じた時です。
寒気を感じたときに、首の後ろから背中に触れてみて、しっとり汗をかいているかどうかを確認します。
しっとりと汗をかいていれば、さらに「ジトっ」とするくらいまで温めて汗をかくこと。
汗をかいていなければ、「ぐっしょり」するくらいまで温めて汗をかくこと。
いずれも、汗をかいた後はしっかりと着替えてよく眠ることが大切。
本当は、寒気を感じた時点でそれだけ対処しておけば、それ以上の症状が現れることは普通はありません。
そのタイミングを逃した場合、どうすればいいですか?
そのタイミングを逃し、外邪(がいじゃ)が体にくっついてくると、それぞれ風邪の症状が現れます。
発熱したり、頭痛が起こったり、鼻水やくしゃみ、咳、いろいろな風邪の症状が出てくるはずです。
そうなると、症状に合わせて対処が異なりますのでお医者さんに診てもらうことになります。
鼻水や鼻づまりがあって、発熱しているような場合は小青竜湯を飲んでもいいんですか?
小青竜湯は、空咳ではなく薄くて黄色くない痰を伴う咳があり、鼻水や鼻づまり、くしゃみがある場合に有効ではありますが、その時点では素人判断はもう危険なので通院するのがいいでしょう。
ポイント:寒気がしたらすぐ対策!! 発熱、鼻水、鼻づまり、薄い痰を伴う咳が出たら通院!
上級パート 症状の理由
小青竜湯の症状が起こっている状態を「外寒内飲(がいかんないいん)」と言います。
外寒とは、風の邪や寒邪などの外邪が体表を冷やすこと。
内飲とは、水分の取りすぎや、お腹の働きが悪いために、体の中の水分が停滞していることを表します。
このため、「麻黄湯証」の症状だけでなく、鼻水、鼻づまり、咳嗽、希薄な痰、浮腫み、小便不利、下痢などの症状を起こすことがあります。
鼻水、鼻づまり、咳嗽は肺の臓の機能が低下し、降りる気が上ってしまうことが原因です。
降りる気が上って咳となり、上る気とともに余った水分が漏れ出てしまうので鼻水が出ます。
身体に停滞している水の邪を水飲(すいいん)といいます。この水飲が腸に降りれば下痢となります。
小便不利とは、おしっこが出にくくなることで、水飲が膀胱に停滞するとおしっこが出にくくなってお腹が張ります。
脈浮とは、体表にやって来た風邪を追い払おうと、体内のエネルギーである営気が、体表に上がってくるために脈が押し上げられることです。
頭項強痛とは、風邪が入ってくるポイントとなる首元に、防衛のために気が集まり、停滞することや、風邪が一緒に連れてくる寒邪によって凝滞する(ぎゅと縮こまる)ことによっておこる頭痛やこりのことです。
悪寒とは、首元に風邪や、風邪が一緒に連れてくる寒邪が当たって寒気がすることです。この場合、寒邪のせいで強い寒気を感じます。
無汗とは、寒邪が体表に迫り、寒邪凝滞(寒くて体が縮こまる)で腠理(汗の出るところ)がふさがるため汗が出ないことです。
発熱は、風寒の邪と防衛の気がぶつかって戦うことで起こる熱で、この場合、十分な衛気(えき)という防衛の気が風寒邪とぶつかるため、きつい発熱が起こります。
骨節疼痛とは、寒邪による寒さのために体がぎゅっと縮こまり、体をめぐる気が停滞してしまうことで起こる痛みです。
漢方学では、「気、通ぜざれば即ち痛む」といい、気が通らないとことが痛みの原因となります。
喘とは、体表に寒邪が停滞することで、皮毛(体表)をコントロールしている「肺の臓」に影響し、下に降りるべき気が、上に上がってくることで起こります。
嘔逆とは、同じように「胃の腑」に影響して胃の気が上がってくることで起こります。
小青竜湯ってどんな薬? 対応するツボは?
小青竜湯は、発汗を促して風寒の邪を追い出し、水分の代謝をよくして薄い痰や鼻水、浮腫みをひかせる薬です。
麻黄、桂枝、乾姜、細辛、半夏、炙甘草、五味子、芍薬からなります。
麻黄は、発汗して風寒の邪を追い出し、肺の臓を正常に機能させて咳を軽くさせる働きがあります。
対応するツボは、合谷です。
桂枝は、体中を温めて軽く発汗させる働きがあります。
対応するツボには、後谿-申脈、百会などがあります。
乾姜は、体を温めて冷えを散らす働きがあり、肺を温めて痰や余った水分を代謝します。
細辛も、体を温めて風邪を追い払って痛みを止めたり、肺を温めて水分を代謝します。
→対応するツボは、外関、列缺、尺沢です。
半夏は、余った水分を代謝し、痰をとり、喉のつまりを軽くします。
対応するツボは陰陵泉、豊隆となります。
五味子は、肺に働いて咳を止め、発汗しすぎて体力が減らないよう調整します。
芍薬には、体を潤す働きがあり、発汗したり、漏れ出てしまった気を補います。
対応するツボは、三陰交です。
炙甘草は、 お腹の働きをよくして気を作り出します。
肺を潤して咳を止める働きもあります。
対応するツボは足三里です。
お家でできる対策
お家でできることはありますか?
基本的には前回と同じです。ゾクッとしたら首回りを温めること。
手首の甲側から、腕の外側も冷えてますから、そこもしっかりと温めること。
さらに暖かいものを摂取して、暖かい格好をしてしっかりと汗をかくまで温まり、ぐっすり眠ること。
汗をかいたらその都度着替えて、汗がひいたときに冷えないようにしてください。
ポイントは、最初に寒気を感じたときに、すぐに対策をとることです!!
ツボは、今回も温めるんですか?
ツボは、百会、合谷、陰陵泉、豊隆、尺沢はゆっくり回すようにもみましょう。力加減は気持ちの良い程度です。ほかのツボは周辺を蒸しタオルで温めるなど、温めるのがいいでしょう。
次回は葛根湯証。有名な風邪薬ですが、どんな時に使うのでしょうか。